近年日本ではソーシャルレンディングが盛り上がりを見せていますが、ソーシャルレンディングはもともと海外発祥のクラウドファンディングで、経済大国アメリカやソーシャルレンディング発祥の地であるイギリスでは特に盛んです。
今回は海外のソーシャルレンディング事情と、日本から海外通貨建てで投資をする方法についてご紹介します。海外のソーシャルレンディングや海外通貨での投資に興味がある方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
世界一の経済大国「アメリカ」の海外ソーシャルレンディング
世界一の経済大国アメリカには、世界的に見ても最大手のソーシャルレンディング事業者があり、ソーシャルレンディング自体が非常に盛んです。以下ではアメリカのソーシャルレンディング事業者で特に注目の2社をご紹介します。
アメリカで最初のソーシャルレンディング事業者:PROSPER(プロスパー)
アメリカで最初に誕生したソーシャルレンディング事業者は「PROSPER(プロスパー)」という事業者で、現在でもアメリカの中で最大手のサービスだと言えます。日本のソーシャルレンディング事業者と比較して決定的に異なるのは、個人向けの貸し付けである「消費者ローン」への投資案件が多いことです。
プロスパーは2005年に創業して以来、2019年11月時点で97万人以上の利用者、160億米ドル以上の貸し付け実績があります。また、プロスパーの過去案件における平均利回りは5.2%と公表されており、日本のソーシャルレンディングサービスの利回りとそれほど大きな差はありません。
プロスパーではリスクごとに案件ランクがAA〜HRといった具合に分かれており、AAに近くなればなるほどローリスク・ローリターン、HRに近くなればなるほどハイリスク・ハイリターンとなります。
ニューヨーク証券取引所に上場しているソーシャルレンディング事業者:Lending Club(レンディングクラブ)
Lending Club(レンディングクラブ)はアメリカの中で最大手のソーシャルレンディング事業者で、ニューヨーク証券取引所に上場しています。2019年11月時点で300万人以上の利用者、500億米ドル以上の貸し付け実績を誇っており、世界的に見ても最大手のソーシャルレンディング事業者です。
プロスパーが2005年創業なのに対してレンディングクラブは2006年創業と、1年遅れで事業をスタートしました。案件の種類はプロスパーと同じく個人向けの貸し付けである「消費者ローン」への投資案件がメインです。公式サイトによると平均利回りは4〜7%となっており、プロスパーの平均利回り5.2%とそれほど違いはなく、日本のソーシャルレンディング事業者とも大きな差はありません。
プロスパーやレンディングクラブのように、以前は日本のソーシャルレンディング事業者でもmaneoやSBIソーシャルレンディングなどが個人向け貸し付け案件を扱っていましたが、あまりに回収率が悪くデフォルトや返済遅延が多発したため、現在ではどの企業も個人向けの貸し付けは行っていません。
海外ソーシャルレンディング発祥の地は「イギリス」
イギリスはソーシャルレンディング発祥の地で、現在のソーシャルレンディングの原型となったサービスを展開している事業者があることで有名です。以下ではイギリスのソーシャルレンディング事業者の中でも、特に歴史の長い事業者を2社ご紹介します。
ソーシャルレンディングの骨組みとなった事業者:VirginMoney(ヴァージン・マネー)
VirginMoney(ヴァージン・マネー)は2002年にイギリスでサービスを開始した事業者で、現在のソーシャルレンディングの原型となるサービスを展開しました。サービスの内容は、インターネットを通じて個人が個人に融資できるというモデルです。
2002年といえば、日本ではカメラ付きのガラケーが流行しはじめた時代ですから、その当時にインターネットを通じて個人間で融資ができる仕組みというのは非常に斬新だったと言えるでしょう。
諸説ありますが、ソーシャルレンディングの発祥はヴァージンマネーだとする場合が多く、そのためソーシャルレンディングはイギリスから発祥したとされています。ヴァージンマネーはソーシャルレンディング専門の事業者ではなく、あらゆる金融サービスを展開する大手金融企業で、日本でいうとSBIソーシャルレンディングが近い存在です。
世界初のソーシャルレンディング事業者:ZOPA(ゾーパ)
ZOPA(ゾーパ)は2005年にソーシャルレンディングサービスの展開をスタートした事業者で、現在のソーシャルレンディングのモデルを最初にスタートした企業です。公式サイトでは、2019年11月現在で45億ポンド以上、47万人以上の消費者への貸し付け実績があり、世界的にみてもソーシャルレンディングの最大手企業といえます。
現在のソーシャルレンディングのモデルと言っても、アメリカのプロスパーやレンディングクラブと同様に個人への貸し付け案件(P2P)がメインなのが特徴です。また、利回りに関してもアメリカの事業者や日本の事業者とほとんど差がなく、目標利回りは5.2%と公表されています。
ちなみに、日本で最初にソーシャルレンディングを開始した事業者はmaneoで、2008年10月にスタートしています。アメリカやイギリスに比べて、日本がソーシャルレンディング事業に参入したのは2〜3年後だったということです。
海外のソーシャルレンディング事業者を日本人が利用することは可能?
ここまで海外の大手有名ソーシャルレンディング事業者をご紹介しましたが、日本人が日本にいながら海外のソーシャルレンディング事業者を利用することは可能なのでしょうか。残念ながら一部の場合を除いて答えは”NO”です。
海外のソーシャルレンディング事業者に限らず、ほとんどのソーシャルレンディング事業者では利用者の資格としてその国の住民票(外国籍の方は外国人登録証明書、在留カード、 特別永住者証明書など)が必要になります。
裏を返せば、日本のソーシャルレンディング事業者を利用する場合でも、日本に住民票がない方は日本人だとしてもサービスを利用することはできません。ただし、以下でご紹介するように日本のソーシャルレンディング事業者を利用して海外通貨建ての投資を行うことは可能です。
日本のソーシャルレンディングでも海外通貨建てが可能
上述したように、日本国籍の方は海外のソーシャルレンディング事業者を利用することはできません。しかし、日本のソーシャルレンディング事業者の中には海外通貨で投資ができる案件を扱っている事業者があります。
以下でご紹介2社では海外通貨建ての投資が可能ですので、興味のある方は口座開設をしてみてください。
クラウドクレジット
- 伊藤忠商事をはじめとした大手企業が出資している
- 利回りが10%を超える”高利回り案件”が多数ある
- 海外通貨建てで投資できる案件がある
クラウドクレジットは伊藤忠商事を筆頭に、第一生命保険、ソニーフィナンシャルベンチャーズなど大手企業からの出資を受けているソーシャルレンディング事業者です。
クラウドクレジットには利回りが14.5%を超えるような高利回りの案件がたくさんあります。一方で、これまでに元本割れした案件が2019年11月時点で32件あると公式に発表されていることから、ハイリスク・ハイリターンな案件であることも事実です。
また、クラウドクレジットは投資先企業の”匿名化解除”を積極的に行っており、2019年7月から複数の案件で投資先企業の情報を公開しています。さらに、ハイリスクな案件が多いものの、リスク対策の具体的な方法やリスクへの考え方をしっかりと発信しており、誠実な運営をしているソーシャルレンディング会社です。
海外新興国への投資案件を扱っており、海外通貨建てで投資が可能です。投資先の企業がある地域は東南アジア、中東、アフリカ、南米など多岐にわたっています。
以下でご紹介するクラウドバンクば米ドル建てのみですが、クラウドクレジットの場合はKGS(キルギス・ソム)、RUB(ロシアン・ルーブル)、MXN(メキシコ・ペソ)、MNT(モンゴル・トゥグルグ)、KES(ケニア・シリング)など多種多様な通貨で投資が可能なのが特徴です。
また、投資した資金は社会的な課題解決やインフラ整備のために使われることが多く、社会貢献(社会インパクト)に繋がる投資ができます。
クラウドバンク
- 元本回収率100%*(元本割れなし)
- 実績平均利回り6.99%*
- 応募総額702億円*以上
*上記数字は公式発表されている数字です
*上記数字は2019年11月時点の数字です
クラウドバンクは日本クラウド証券株式会社が運営しているソーシャルレンディングサービスで、これまでに元本割れした案件がなく、元本回収率が100%なのが絶対的な強みと言えます。元本回収率が100%ということは、クラウドバンクで投資をして損をした投資家がいないということです。
さらに、平均利回りが実績ベースで6.99%と高水準なのも嬉しいポイントで、安定的に運用して確実に資金を増やしたいと考えている方におすすめのソーシャルレンディング会社です。応募総額702億円以上という実績もソーシャルレンディング業界ではmaneoやSBIソーシャルレンディングに続く上位の実績となります。
2018年6月より米ドル建てでの投資が可能となっており、円→米ドル、米ドル→円双方の両替にも対応しています。日本円で入金した投資金を米ドルに両替して米ドルで投資を行い、そのまま米ドルで戻ってくるため、米ドルから日本円に両替するタイミングを選ぶことが可能です。
海外通貨建てソーシャルレンディングの注意点
海外通貨建で投資ができる日本のソーシャルレンディング事業者をご紹介しましたが、実際に海外通貨建ての投資をする際は”為替差損”に注意する必要があります。為替差損とは案件の利回りではなく、為替によて生じる損のことです。
例えば、1ドル=100円のときに100ドル(10,000円)を投資して、案件が満期を迎えて110ドルになったとします。案件としては無事にプラス10ドル(+10%)で終わっていますが、案件の満期を迎えたときに1ドル=90円となっていた場合、110ドル=9,900円です。
上記では結果的に10,000円を投資して9,900円になってしまったため、100円のマイナスとなっています。このように案件の利回りとは別の観点で、為替の変動によってマイナスとなってしまう場合のことを為替差損と呼びます。
海外通貨建ての場合は為替の動向を予測しながら投資をする必要があるため、上級者向けの案件だといえます。ただし、為替の変動がプラスになった場合は利益が増える場合もあるため、一長一短です。
海外では日本以上にソーシャルレンディングが盛ん!
もともと海外発祥のソーシャルレンディングは、世界的に見れば海外の方が盛んに行われており市場規模も年々増加しています。また、残念ながら日本人(日本国籍)の方が海外のソーシャルレンディング事業者を利用することはできないため、どうしても海外案件に投資をしたい場合は海外通貨建て案件に投資をしましょう。
ただし、海外通貨建て案件の場合は為替の変動によって為替差損が発生する場合があるため、日本円で投資を行う案件よりもハイリスク・ハイリターンであることを覚えておきましょう。もし海外通貨建ての案件に投資をする場合は、無理のない金額ではじめることをおすすめします。